【XJAPANのX時代】ベーシストTAIJIの魅力⑤音楽性の高さ

【XJAPANのX時代】
ベーシストTAIJIの魅力
⑤音楽性の高さ

TAIJIの音楽性

自身の著書「伝説のバンドXの生と死」においてTAIJIは幼い頃から身の回りに音楽があった環境で育った事を綴っている。

娯楽というものが限られていた時代というのもあったのか、この年代のアーティストには音楽性が高いプレイヤーが多いように思う。

音楽性の高さは演奏技術だけでは身につくものではないと思う。

どんな音楽を手本にしてきたか、耳から聴こえてくる音以外からも何かを感じ取れるセンスみたいなものを持っている人だけが身につけているものだと思う。

音楽が持つ本当の意味は制作した本人しか分からず、リスナーは自分が音楽から感じ取ったものを元に曲が持つ意味や情景などを思い浮かべる。

ただ音楽というのは分析しながら聴くものではなく感覚的に聴いて良いと感じられるものが聴く人にとってのいい音楽だとも思う。

というよりそれが純粋な音楽の形なのだと思う。

音楽を聴く事で感情が揺さぶられたり、救われたりと何かしらのエネルギーが生まれてくる。

TAIJIのベースラインにはうまく説明できないが何というか音の説得力みたいなものを感じる。

一小節に沢山の音を詰め込んだような超絶速弾きベーシストのプレイもそれはそれでいい部分はあるが、TAIJIのプレイは少ない音数でも音の存在感を強く感じる。

それは曲にとって必要な音を選択するセンスを持っているからだと思う。

演奏技術が身についてくると沢山の音を詰め込みたくなる傾向があるが、しっかりとした計算がないまま音を詰め込んでも音楽的に素晴らしくなければそれは自己満足にしかならない。

TAIJIのベースラインからは自分の音の存在感を強く出しながらも曲が持つ個性を壊さないという絶妙なバランス感覚を感じる。

もしかしたら音楽を足し算ではなく引き算で捉えていたのかもしれない。

まず楽曲が持つ世界観を優先し、自分が出したい音と楽曲が必要とする音を照らし合わせ、その中で楽曲が求めていない音を削ぎ落としながら完成に近づけていくといった作り方をしていたのではないかと想像する。

自分の個性を出すこと以上に楽曲の素晴らしさを第一に考えるという自制心をしっかりと持っていたベーシストだったのではないだろうか。

その考え方は娯楽というものの数が限られていて手本となっていた音楽が素晴らしい時代に育ったからこそ身についた音楽との向き合い方、物事を追求しだすとトコトンのめり込む性格から生まれた音楽性の高さなのだと思う。


【XJAPANのX時代】
ベーシストTAIJIの魅力
⑤音楽性の高さ

歌うベースライン

TAIJIは元々ギタリスト。

友人に頼まれた事がきっかけになりベーシストに転向したらしい。

TAIJIのベースラインのメロディーが奇麗なのはギタリストの発想でベースを弾いているからだと思う。

歌うベースラインはベースに持たれていた地味というイメージを壊した要因の1つとも考えられる。

そのベースラインは時にボーカリストのようにも感じられる。

ボーカルToshlの声と絡み合って一緒に歌っている。

メタル要素が強い高速ナンバーの中にベースの美しいメロディーラインが入る事で新しい音楽が生まれる。

Xが目標としていたメジャーシーンをぶっ壊すという言葉には、今まで無かった新しい音楽を生み出し続けるという意味も含まれているように感じる。

TAIJIがギタリストの発想から生み出した歌うベースラインはメジャーシーンをぶち壊すという目標に一役かっていたと思う。