90年代B系ファッションの魅力!ファットファーム、ペレペレ、カールカナイなど人気ブランド

90年代~2000年代初頭のB系ファッションとファットファーム・ペレペレを始めとする代表的ブランド

B系ファッションは、90年代から2000年代初頭にかけて日本の若者文化を席巻したヒップホップ由来のストリートスタイルだ。ダボっとしたシルエット、派手なアクセサリー、音楽やダンスとの深い結びつきが特徴で、ファットファーム(Phat Farm)やペレペレ(Pelle Pelle)をはじめ、カールカナイ(Karl Kani)、ショーンジョン(Sean John)、ロカウェア(Rocawear)などのブランドがトレンドを牽引した。ここでは、当時のB系ファッションの魅力と、これらのブランドがどのようにストリートシーンを彩ったかを振り返る。


B系ファッションのルーツとスタイル

B系ファッションの「B」は「Bボーイ」や「ブラックカルチャー」に由来し、アメリカのヒップホップシーンから生まれた。オーバーサイズのTシャツ、バギージーンズ、トラックジャケット、ハイカットスニーカーといったアイテムが定番で、ゴールドのチェーンネックレスやバケットハット、ドゥーラグがコーディネートに個性を加えた。このスタイルは、単なるファッションを超え、ヒップホップやR&B、ブレイクダンスといったカルチャー全体を体現するものだった。日本のB系ブームは、ストリートを中心に広がり、専門店やセレクトショップが若者たちの聖地となった。MTVやミュージックビデオを通じて、ウータン・クランやTLC、ジェイ・Z、ジェニファーロペス、2PACなどのアーティストのスタイルが日本の若者に影響を与え、腰パン(パンツを低く履くスタイル)やコーンロウといった要素も流行。女性のB系ファッションでは、クロップトップやタイトなデニムを組み合わせ、ストリート感とセクシーさを両立させた着こなしが人気だった。

B系を代表するブランドとその魅力

当時のB系ファッションを牽引したブランドは、それぞれ独自の個性で若者たちを魅了した。

ファットファーム(Phat Farm)

ラッセル・シモンズが設立したパットファームは、ヒップホップカルチャーとストリートウェアを融合させたブランドとして一世を風靡した。「Pretty Hot And Tempting」の略とされるブランド名は、クールで魅力的なデザインを象徴。ロゴが大胆に配されたスウェットや鮮やかなカラーのジャケットは、ストリートでの存在感を放ち、ヒップホップアーティストの着用によって日本でも「本物」の証とされた。ショップでファットファームのアイテムを手に入れることは、若者にとってステータスだった。

ペレペレ(Pelle Pelle)

1978年創業のペレペレは、高品質なレザージャケットや刺繍入りの派手なデザインで知られ、特にウータン・クランとのコラボアイテムがB系ファンの心を掴んだ。ボリュームのあるシルエットと豪華な素材感は、ストリートでの「強さ」を強調。日本のB系シーンでも、ペレペレのレザージャケットやトラックトップはコーディネートの主役として愛された。

カールカナイ(Karl Kani)

カールカナイは、「ストリートファッションのゴッドファーザー」とも称されるブランドで、ヒップホップとファッションの融合を先駆けた。デニムやスウェットに施された大胆なロゴやカラフルなデザインは、90年代のB系スタイルの定番。カールカナイのジーンズは、ダボっとしたシルエットと独特のステッチが特徴で、ストリートでの個性を際立たせた。

ショーンジョン(Sean John)

ショーン・コムズ(ディディ)が手掛けたショーンジョンは、ストリートウェアに洗練された要素を加えたブランドとして人気を博した。スーツやドレッシーなアイテムも展開し、B系ファッションに新たな可能性をもたらした。日本の若者には、カジュアルなロゴTシャツやジャケットが特に支持され、ヒップホップの「成功」を象徴するスタイルとして受け入れられた。

ロカウェア(Rocawear)

ジェイ・Zが設立したロカウェアは、ヒップホップカルチャーの最前線を反映したブランドだ。カジュアルで着やすいデザインながら、ストリート感を損なわないアイテムが特徴。デニムやキャップ、スウェットは、日本のB系シーンでも広く愛され、特にロゴを強調したデザインが人気だった。


当時の着こなしと文化的影響

B系ファッションの着こなしは、単にダボっとした服を着るだけでなく、バランスや個性の表現が重要だった。オーバーサイズのトップスにバギーパンツを合わせ、ナイキのエアフォース1やティンバーランドのブーツで足元を固める。そこにバケットハットや太めのチェーンネックレスを加え、ヒップホップ特有の「タフさ」を演出した。女性のB系スタイルでは、ベアトップやクロップドジャケットにフレアパンツを合わせ、ストリート感と女性らしさを融合させたコーディネートが流行した。この時期、ミュージックビデオはB系ファッションの教科書だった。アリーヤやミッシー・エリオット、m-floなどのアーティストが着こなすスタイルは、日本の若者に大きな影響を与えた。クラブやストリートダンスイベントでは、B系ファッションをまとった若者たちがカルチャーを体現し、自己表現の場として盛り上がった。

現代におけるB系の再評価

2010年代以降、ファッションの主流がスリムフィットやハイファッションに移る中、B系ファッションは一時「古い」と見られることもあった。しかし、近年は90年代リバイバルのトレンドが再燃し、オーバーサイズのスタイルやレトロなストリートウェアが再注目されている。ファットファームやペレペレ、カールカナイなどのアイテムは、ヴィンテージ市場で高値で取引され、現代の若者が新たな解釈で着こなしている。また、現代のストリートブランドやハイブランドがB系要素を取り入れることも多く、その影響力は今も続いている。


まとめ

90年代~2000年代初頭のB系ファッションは、ファットファーム、ペレペレ、カールカナイ、ショーンジョン、ロカウェアといったブランドが牽引し、ヒップホップカルチャーと密接に結びついたスタイルとして若者たちを魅了した。ダボっとしたシルエットや派手なアクセサリーは、単なるファッションを超え、個性と自己表現の象徴だった。現代のファッションシーンでも、そのスピリットは新たな形で受け継がれ、ストリートカルチャーの普遍的な魅力を物語っている。