リング上のドラマにバッドエンドは必要なのか?
6・9の大阪城ホール大会においてメインイベントで行われた
オカダカズチカ 対 クリスジェリコ
この試合、内容は悪くなかったのですが、試合後に大暴れしたジェリコによってバッドエンドとなる結末となりました。
新日本プロレスにおいてあまり見る機会が少ないバッドエンド。
バッドエンドによって得られるものは一体何なのでしょうか。
また、バッドエンドという結末におけるメリットとデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
ドラマを楽しむ上では盛り上げる要素
ドラマを楽しむ上でストーリーが何事もなく順調に進み、最後ハッピーエンドで締めくくる内容というのはあまり面白みがありません。
TV等の恋愛ドラマを例えにするならば、主役の男女2人が出会ってすぐに意気投合して交際がスタートし、一度もケンカせずずっと仲良しのままドラマが回を重ねていき、最後そのままゴールインするという物語だった場合、観たいとおもうでしょうか。
やはり、恋のライバルの存在や家庭環境の違いといったような困難や障害が主役の男女2人の前に立ちはだかり、その困難をどう乗り越えて2人は最終的な結末を迎えるのかといった所にドラマの盛り上がる要素があると思います。
TVドラマはだいたいワンクールで最終回を迎えるので、たとえ途中の回でバッドエンドを迎えても次回にストーリーが続き、最終回にハッピーエンドで終了するというのが一般的な結末と言えます。
プロレスはドラマと違い最終回というものがありません。
一旦ストーリーを区切るような位置にビッグマッチがありますが、その日の大会の締めくくりがハッピーエンドであろうがバッドエンドであろうが、次のシリーズへとストーリーは進み続けていくのです。
次のシリーズに進んだ際にバッドエンドで終了したストーリーの先の展開を見る事ができなかったとしても、数ヵ月後、数年後にストーリーが繋がっていく事もあるのがプロレスの面白い所とも言えます。
ずっと気になっていたままお預けにされていた結末の続きを、数年経った後にやっと決着を迎える時などは、長い期間待たされていた分ものすごく盛り上がりを見せるものとなります。
会場へ足を運ぶ客側からすると残念
ドラマのストーリーの途中にバッドエンドは必要なのはわかりました。
なのでプロレスのストーリーにもバッドエンドも必要な要素だと理解できます。
ただ、そのバッドエンドをどこで迎えるかというのは会場へ足を運ぶ側からするとデリケートな所でもあります。
やはり自分が会場へ足を運ぶ時の大会では絞めの挨拶をしっかり決め、ハッピーエンドを迎えた勝者の姿を観たいものですからね。
それがバッドエンドで締めくくる結果となるとその楽しみを味わえない訳です。
こういったことは他のスポーツでもよくある事だと思います。
例えばプロ野球で考えると、球場へ足を運び、応援していた球団が負けてしまう事はよくあります。
ただプロレスの場合は定番とも言える形で最後に絞めの挨拶があります。
試合の勝者がどちらであったとしても最後の締めを期待していて、どんな内容のコメントが聞けるかを目当てに会場へ足を運んでいる部分もあります。
特にこの日を楽しみに前々からスケジュール調整をしつつ、やっとの事で当日に会場で観るプロレスの結末がバッドエンドとなり、期待していた絞めのシーンをお預けにされたとなるととても残念なものとなり後味の悪い中会場を後にする事になってしまいます。
プロ野球で言うならば試合後の勝利者インタビューや優勝監督の胴上げなどを見られないまま会場を後にするようなものだと思います。
バッドエンドのメリットデメリット
バッドエンドを2つの項目で考えてきました。
- バッドエンドはドラマを楽しむ上では盛り上げる要素
- 会場へ足を運ぶ客側からすると残念な気持ちになるもの
この2つがバッドエンドにおけるメリットとデメリットだと考えられます。
バッドエンドはドラマを盛り上げる要素として必要なものだと理解はしていても、実際に会場へ足を運んだ時だけはハッピーエンドで帰りたいものだという事です。
ただ気になるのは、バッドエンドの必要性を認められず、自分が観に行った試合がハッピーエンドを迎えられなかった事によってプロレス離れにつながる人も中には出てくるのではないだろうかという事です。
特にビッグマッチでの結末に対する期待は大きなものです。
あくまでも個人的な想像ですが、ビッグマッチへの期待値が大きいものなだけに、満足して帰られなかった事が悪い思い出として記憶され、次に地元で大会があってもまた同じ気持ちを味わうくらいならと足が遠のくという事態が起こらないとも限らないという事です。
考えすぎかもしれませんが、これはなかなか難しい問題だと思います。