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ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの歴史
新日本プロレスにおけるユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」(Los Ingobernables de Japón、以下L.I.J)は、プロレス界に独自の存在感を放ち、多くのファンを魅了した伝説的な派閥です。スペイン語で「制御不能な日本の奴ら」を意味するこのユニットは、反体制的なスタイルとカリスマ性で一時代を築きました。以下にその歴史を紐解きます。
ロスインゴは人気選手ぞろい
新日本プロレスの人気ユニット、ロスインゴベルナブレスデハポン。
内藤選手がメキシコ遠征から帰ってきてから様子がおかしくなり、1人で結成されましたね。
今ではパレハ(相棒)も次々と加わり、今もなお絶大な人気を誇るユニットとなっています。
発足と初期の活動(2015年)
L.I.Jの歴史は2015年11月21日に始まります。中心人物である内藤哲也が、メキシコのプロレス団体CMLLで活動していた際に、同団体のユニット「ロス・インゴベルナブレス」に加入。メキシコで活動するラ・ソンブラ(現アンドラーデ)との交流を通じてこのユニットの精神に共鳴し、日本での展開を決意しました。帰国後、内藤は新日本プロレスで独自のユニットを立ち上げ、ユニット名に「デ・ハポン」(日本の)を加えて日本版L.I.Jを結成。初期メンバーには内藤、EVIL、BUSHIが名を連ねました。同年11月、ワールドタッグリーグに内藤とEVILのタッグで参戦。後楽園ホールでの開幕戦では、長期欠場中だったBUSHIがセコンドとして登場し、ユニットの結束をアピール。翌日、ユニット名を正式に「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」と定め、本格始動を宣言しました。当初はヒール(悪役)寄りのスタイルで、乱入や凶器攻撃など過激なファイトが特徴でしたが、次第に独自のムーブメントを築き、ファンから熱狂的な支持を受けるようになりました。
勢力拡大と黄金期(2016年~2019年)
2016年以降、L.I.Jは新日本プロレスの中心的なユニットとして急成長します。2016年に髙橋ヒロムが加入し、ジュニアヘビー級戦線で圧倒的な存在感を示しました。さらに2018年10月、両国国技館大会で「X」として登場した鷹木信悟が新メンバーとして加わり、ユニットの戦力を強化。鷹木は前日にDRAGON GATEを退団したばかりで、その電撃加入は大きな話題を呼びました。この時期、L.I.Jは数々のタイトルを獲得。2018年のワールドタッグリーグではEVILとSANADAが2連覇を達成し、2019年のレッスルキングダム13では内藤がIWGPインターコンチネンタル王座、EVIL&SANADAがIWGPタッグ王座、BUSHI&鷹木がIWGPジュニアタッグ王座をそれぞれ奪取。ユニット全体で各階級のベルトを掌握する圧倒的な強さを見せつけました。内藤を中心に、試合後の「トランキーロ!あっせんなよ!」(焦るなよ)や独特の試合展開が観客を惹きつけ、L.I.Jはベビーフェイス(正義)でもヒールでもない独自の立ち位置を確立しました。
試練と変化(2020年~2023年)
2020年、新型コロナウイルスの影響で新日本プロレスの大会が一時中断される中、L.I.Jは団結力を維持。NEW JAPAN CUP 2020では内藤以外のメンバーが出場し、ユニットの存在感を示しました。しかし、内部では変化も訪れます。EVILが2020年にユニットを離脱し、BULLET CLUBに加入。この裏切りはファンに衝撃を与え、L.I.Jの結束に一時的な動揺をもたらしました。それでも内藤のリーダーシップのもと、L.I.Jは新たな挑戦を続けます。2023年には辻陽太が海外遠征から帰国し、ユニットに加入。若手ながら実力派の辻の加入は、L.I.Jに新たな息吹をもたらしました。ファンからは「制御不能な魅力」を保ちつつ、進化を続けるユニットとして高く評価されました。
解散と新たな展開(2023年~2025年)
2025年5月4日、L.I.Jに大きな転機が訪れます。内藤とBUSHIが新日本プロレスを退団し、L.I.Jは解散を余儀なくされました。残った高橋ヒロム、鷹木信悟、辻陽太は無所属となり、ユニットの歴史に一旦終止符が打たれました。さらに6月5日、内藤が自身のブログで「LOS INGOBERNABLES de JAPON」の名称使用権が自身とBUSHIにないことを明かし、今後は使用できないと発表。翌6日、BUSHIがXで新ユニット名「ロス・トランキーロス・デ・ハポン」を公表し、内藤とBUSHIの新たな活動が始まりました。
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの歴代メンバー
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(Los Ingobernables de Japón、以下L.I.J)は、新日本プロレスにおいて独自の反体制スタイルで人気を博したユニットです。2015年の結成から2025年の解散まで、個性豊かなメンバーが集まり、ユニットの歴史を彩りました。以下に、歴代メンバーを独自の視点で紹介します。
1. 内藤哲也(結成メンバー・リーダー)
L.I.Jの創設者であり、精神的支柱。メキシコのCMLLで「ロス・インゴベルナブレス」に触発され、日本版を立ち上げた。「トランキーロ!あっせんなよ!」(焦るなよ)を合言葉に、独特のマイペースな試合スタイルとカリスマ性でファンを魅了。IWGPヘビー級王座やインターコンチネンタル王座を獲得し、ユニットの顔として牽引。2025年に新日本プロレスを退団し、BUSHIと共に新ユニット「ロス・トランキーロス・デ・ハポン」を結成。
2. EVIL(結成メンバー)
初期メンバーとしてL.I.Jの骨格を支えたパワーファイター。タッグ戦線での活躍が顕著で、ワールドタッグリーグ連覇やIWGPタッグ王座獲得に貢献。無骨なファイトスタイルで「キング・オブ・ダークネス」を自称。2020年にL.I.Jを離脱し、BULLET CLUBに加入。裏切りはファンに衝撃を与え、ユニットに一時的な動揺をもたらした。
3. BUSHI(結成メンバー)
ジュニアヘビー級の技巧派としてL.I.Jにスピードと華を加えたメンバー。マスクマンとしての個性的なルックスと、毒霧や軽快な動きで観客を沸かせた。内藤との信頼関係が厚く、2025年の新日本退団後も内藤と共に新ユニットを結成。L.I.J時代はIWGPジュニアタッグ王座獲得など、ジュニア戦線で存在感を示した。
4. 髙橋ヒロム(2016年加入)
2016年に海外遠征から帰国後、L.I.Jに電撃加入。ジュニアヘビー級のエースとして「タイムボム」の異名を持ち、高速かつ予測不能な試合展開で一躍人気者に。IWGPジュニアヘビー級王座を複数回獲得し、ユニットの若手スターとして活躍。2025年の解散後は無所属で活動を継続。
5. SANADA(2016年加入)
クールで端正なルックスと高い技術を持つ実力派。2016年にL.I.Jに加入し、ヘビー級戦線で存在感を発揮。EVILとのタッグ「WORLD TAG LEAGUE」連覇やIWGPタッグ王座獲得に貢献。冷静沈着なスタイルで「コールド・スカル」と呼ばれ、ユニットの戦略的な柱として活躍したが脱退。
6. 鷹木信悟(2018年加入)
2018年、DRAGON GATEからの電撃移籍でL.I.Jに加入。豪快なパワーファイトと熱い闘志で「ザ・ドラゴン」の異名を取る。加入直後からIWGPジュニアタッグ王座やNEVER無差別級王座を獲得し、ユニットの戦力を大幅に強化。解散後は無所属で活動を続け、新日本プロレスの主力として元気ハツラツに奮闘。
7. 辻陽太(2023年加入)
2023年に海外遠征から帰国し、L.I.Jの最後のメンバーとして加入。若手ながら恵まれた体格と高いポテンシャルを持ち、ユニットに新たな風を吹き込んだ。加入期間は短かったが、将来性を高く評価され、解散後は無所属で活動を継続。
補足
L.I.Jは結成から解散までの約10年間で7人のメンバーを擁しました。内藤のリーダーシップのもと、各メンバーが個性を発揮し、ユニットとしての結束力と独自性を築き上げました。2025年の解散後も、元メンバーの活躍や内藤・BUSHIの新ユニット「ロス・トランキーロス・デ・ハポン」への展開により、L.I.Jの精神はプロレス界に受け継がれています。
文化的影響とレガシー
L.I.Jは単なるプロレスユニットを超え、ファッションや音楽など文化的影響も与えました。公式グッズやテーマ曲集は高い人気を誇り、特に内藤哲也のテーマ曲は広島東洋カープのファンにも愛されるなど、プロレスファン以外にも広がりを見せました。シルクネクタイやコラボアパレルなど、ユニットのロゴを活用した商品も多数展開され、L.I.Jのブランド力はプロレス界に新たな潮流を生み出しました。
内藤哲也の発信力
内藤選手の発信力の高さは素晴らしいです。
新日本ファンが抱いている想いを代弁する発言がとても的を得ていて驚かされます。
内藤選手は以前ベビーフェイスで活躍していましたが、棚橋選手と近い路線だったためプロレスラーとして伸び悩んでいたように思います。
オカダ選手にもIWGPを先に越されて、大阪ではブーイングを浴び、相当追い込まれていたように感じます。
ですがメキシコへ遠征に行ったことで自分の道を見つけたのだと思います。
そこからの内藤選手は飛躍していくスピードがものすごく速く感じました。
今まで大事にしてきたものを捨てて、吹っきれた内藤選手はのびのびと自分らしくプロレスを楽しんでいるように感じます。
誰かを目指しているうちは、その誰かより上に行く事はできない。
なぜならその道は誰かが作った道だから。
そのようなメッセージをロスインゴで活躍する内藤選手から教わったような気がします。
プロレスラーとしてベルト以上の価値を手に入れた内藤選手の存在があってこそのロスインゴベルナブレスなのです。
高橋ヒロムのサービス精神
高橋ヒロム選手ほど制御不能という言葉がピッタリな選手はいないと思います。
それは派手で過激さを感じるプロレススタイルはもちろんのこと、少年というよりも精神的に子供のような無邪気な顔を見せる半面、しっかりと計算されていたり、かと思うとものすごく臆病な一面を見せたりとつかみどころがないのが魅力となって人気を得ているように感じます。
ヒロム選手が出てくるとなぜか顔がほころび、きっと何かを起こしてくれる期待感を持たされます。
ドキュメンタリーなどのインタビューでも真剣に質問に答えていたのかと思うと急に奇声を発したり、意味不明な発言をしたりと何を伝えたいのか分からなくなる時も若干ありますが、ヒロム選手からは優しさと強いサービス精神を感じます。
なぜなら、自ら発信するいろいろなアイデアによってファンを楽しませようとしているのが伝わってくるからです。
高橋ヒロム選手はつかみどころのないキャラクターと子供っぽさ、強いサービス精神が魅力になっているのだと思います。
SANADAのカリスマ性
SANADA選手からはカリスマ性を感じます。
口数が少ないせいか、試合中の背中から感じたものが俺のメッセージだ!と言われているような気になってしまいます。
試合運びもレベルが高く、オカダ選手のライバルとして今後も期待が持てます。
見た目も少しずつ変化しています。
モデルさんのようなイケメンでありながら、気がつくとあごひげがどんどん伸び、現在では金色になっています。
ですが、あまりその事について誰も触れない、というよりも気にさせない空気感を持った不思議な選手なのかもしれません。
長岡大会でのメインイベント後の締めの挨拶では、客席のお客さんの協力を得て幻想的な空間を魅せるというロマンチックな面も持っている魅力的な選手です。
普段口数が少ない事からマイクパフォーマンスでしゃべった時にそのレアさからお得感を感じます。
気持ちを表現するのは何も言葉だけじゃない。という男の不器用さのようなものを魅力として持っている選手だと思います。
とはいうものの、欲を言わせていただくのならば、もっと発信力があるといいかなとも思います。
EVILの世界観
EVIL選手はキャラクターの個性が強さが特徴的で、ロスインゴの中ではパワーファイターに位置している選手だと思います。
ロスインゴの最初のパレハとして現れた時はそのルックスの変貌ぶりに驚きました。
キャッチーな決め台詞と見た目のインパクトからか子供からの人気も得ています。
制御不能と称されるロスインゴにおいて、EVILは独特の世界観を放っています。
設定としては魔界からの使者的な感じなので椅子で攻撃するなどの悪い振る舞いが売りとなっていますが、お客さんが楽しめているかを常に意識しているような印象を感じ、本来の性格は優しいのではないだろうかと感じる部分もあります。
強烈な個性と隠しきれない人間らしさによって人を惹きつける魅力を持った選手だと思います。
少し決め台詞に頼っている感じもするので、今後の発信力を期待しています。
鷹木信悟の説得力
新メンバーとは思えないほどの存在感をもつ鷹木選手。
試合においては強靭な肉体から繰り出される圧倒的なパワーとタフさを感じる選手です。
新メンバーとはいえプロレスラーとしてはベテランの匂いを感じるからか、絞めのマイクパフォーマンスやバックステージの発言において言葉の説得力を感じます。
対戦相手を上から目線で扱うような傲慢さを感じさせながらも、対戦相手への敬意の気持ちを持ち、ロスインゴの仲間との絆を大事にしています。
鷹木選手はガキ大将のような暑苦しさと共に義理人情に厚く、面倒見の良さと人間臭さに魅力を感じる選手だと思います。
このままてっぺん目指して駆けのぼっていく事を期待しています。
BUSHIの立ち位置
ロスインゴベルナブレスというユニット名のコンセプトであるメキシコ色を一番感じられる選手だと思います。
BUSHI選手はプロレススタイルからルチャリブレの華麗さと昭和プロレスのような懐かしさを併せ持つ魅力を感じます。
ライバル的な存在のKUSHIDA選手がWWEに挑戦しているため、ライバルがいなくなったBUSHI選手は今後どのように立ち位置を見つけていくのか注目しています。
ベテランの雰囲気を感じられますが、ジュニア戦線では鷹木選手の個性に押されている感もあるので、新たな進化を期待しています。
まとめ
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンは、2015年の結成から2025年の解散まで、新日本プロレスに革新をもたらしたユニットです。内藤哲也のカリスマ性を中心に、ヒールから独自のスタイルへ進化し、ファンに愛される存在となりました。解散後も「ロス・トランキーロス・デ・ハポン」として新たな道を歩む内藤とBUSHI、そして無所属として戦い続ける元メンバーたちの動向に、今後も注目が集まります。