トラックドライバー不足の現状と今後について考える

トラックドライバー不足の現状と今後について考える




最近トラックドライバーの求人を見る機会が増えてきました。

以前までは稼げる職業というイメージを持っていましたが、働き方改革や環境への配慮などによりドライバーに課せられる負担が増えたこともあり、トラックドライバーという職業に対する魅力も薄れてきているような気がします。

この記事ではトラックドライバー不足の現状と今後について考えていきます。

トラックドライバー不足の現状と今後について考える
なぜトラックドライバー不足が起きるのか

【原因として考えられるもの】

トラックドライバーという職業に対するイメージ

長時間労働でくたくたになってやっとの事で帰路についても、翌日早起きして出勤しないといけない日々が続くのだろうか。とか、

体力に自信が無い。

いろいろと厳しそう。

体力が残っているうちはいいけど将来このままやっていけるのだろうか。

といった不安などが連想され、誰でも気軽にできそうな職業ではないというイメージを持たれているからだと考えられます。

実際に働いている人たちが辞めてしまった

今まで活躍してくれていたベテランドライバーが高年齢化によって退社してしまう事や、会社や荷主から過酷な要求を求められる事に耐えられなくなったドライバーが辞めてしまう事も原因の一つだと思います。

若者の車離れ

ドライバーが辞めてしまったのなら、また新しいドライバーを雇えばいいのではないかと単純に考えてしまいますがそうはいかないみたいです。

統計では今の若者の半数は車を買えない、または買いたがらない傾向にあるようです。40代、50代に比べ免許を持っている比率が少ないらしく、世代別に考えても少子化の影響で若者自体の人口比率が減ってきていることも原因として考えられます。


トラックドライバー不足の現状と今後について考える
トラックドライバーのメリットデメリット

トラックドライバーのメリットやデメリットにはどのようなものがあるのか考えていきます。

【メリット】

運転が上手になる

トラックドライバーにとって運転は毎日行う基本的な業務なので自然と運転は上手になると思います。

また世間からはプロドライバーという目で見られるので安全運転に対する意識も身につきます。

道を覚えられる

いろいろな配達先や集荷先へ向かうので自然と道は覚えられると思います。

目的地への到着の時間短縮を考えていくつかのルートを調べる機会も多く地理感も身につきます。

最近ではナビを利用するところも増えていて知らない道でも迷うことなく安心して目的地へ向かうことができます。

筋力や体力が付く

作業内容によっては重い荷物の積み下ろしを手作業で毎日行うものもあります。最初はきついかもしれませんが慣れてくると自然と筋肉がついてきます。

筋力や体力をつけたい人にとっては仕事しながらトレーニングできるのでメリットと言えます。

開放的な気分になれる

移動中は基本一人乗務なので安全運転にさえ気をつけていれば開放的な気分になれます。

運転中はエアコンの効いた車内で季節を問わず快適に過ごせます。

健康診断が受けられる

近年運送業界では健康起因事故を減らすため健康に対する意識が高くなってきています。

健康診断を年一回(大型ドライバーなどは二回)受診できます。他にも体調管理に関する環境も整ってきています。

リフトなど他の乗り物の運転技術も身につく

フォークリフト取得制度がある会社もあります。

また業務内容によって他の作業用乗り物の資格取得優遇制度を設けている会社もあります。

車の構造の知識がつく

運転操作だけでなく自分が業務で使用する車両が故障した際に整備担当者と話す機会もあるので車の構造に関わる知識が得られます。

バッテリーの交換やバックランプの球切れなどに対応できるようになります。

【デメリット】

事故を起こす確率が上がる

運転している時間が長いのでそれに伴い事故に出会う確率が上がります。

睡眠不足や疲労による影響、トラックには死角が多く周囲への確認が不十分になったり、慣れてくると漫然運転や脇見運転も増えたりするので注意が必要です。

急発進急ブレーキ、固縛不十分などによる荷崩れやフォークリフトなどの操作による破損などの車の運転以外の荷物事故にも気をつけなければなりません。

労働環境

荷物を積み下ろしする際は様々な大きさ、重さの荷物を扱います。

限られた時間の中で慎重かつスピーディーな作業を求められる事もあるのでタイムプレッシャーを感じやすく体を酷使する事になります。

運行スケジュールや人手不足、渋滞、天候による足止めなどにより長時間労働せざるを得ない事もあり、スケジュールによっては翌日早起きしないといけなかったりするので十分な睡眠時間を確保できないまま業務にあたらなければならなくなります。

季節によって体温調節に気を使ったり時折休憩しながら作業しないと体を痛めたり体調を崩す原因となります。

無理のない運行スケジュールが求められますが人手不足によりなかなか難しい状態になっていると考えられます。

待ち時間が長い

荷下ろし先には他の運送会社のトラックも出入りしています。

そのため順番に並んで待機しなければならないこともあります。

後にも配達が控えている事がある場合、待っている間も焦りを感じる事になります。

また集荷先では荷主の都合により積み込む荷物の準備が整っていないこともあり出来上がるまで待機していなければなりません。 

休憩時間、休憩場所がない

目的地への到着時間に合わせ休憩時間を含めた出発予定時間を設定しても、渋滞などの道路状況の変化により到着予定時間から逆算して到着が大幅に遅れてしまうと予想される場合、休憩時間を削らざるをえなくなります。

またトラックの駐車スペースが確保できない場合は休憩する場所がなかなか見つからず、休憩する時間はあってもトイレを我慢したり食事を摂れないまま走り続ける事になります。

トラックドライバー不足の現状と今後について考える
トラックドライバー不足の今後について

運送業は社会にとって重要な役割を果たす職業です。

ですが人手不足によりドライバー1人1人にかかる負担は大きくなっています。

多少体調が悪くても交代要員がいない事は各々わかっているので休む訳にもいかず無理をしながら業務にあたっています。

新入社員が入社した際はいきなり大変な仕事を任せづらく、あまり負荷をかけてしまうとすぐ辞めてしまうのではないかという不安から、楽な仕事を新人社員に割り当て続け、既存社員に大変な仕事を任せ続けるといった流れに陥りやすいため後継者もなかなか育ちづらく、この状態が続くと既存社員に負担と不満が蓄積され、将来への心配から退社を考えてしまいがちな環境になっていくという悪循環が生まれると思われます。

また、世の中が残業時間を減らす流れになっているため、運賃はなかなか上がらず、それによってドライバーに支払われる給与額は減っていってしまいます。

働きやすい労働環境、労働に見合った収入、安定した休日などが整備され、ドライバーや経営者が不安なく業務に集中できる世の中になっていく事を願うばかりです。